【金高】いわての復興教育~地域を知る地域と繋がる~実践発表会参加報告
表紙の写真は、平成20年6月14日午前8時43分過ぎに発生した岩手宮城内陸地震による一関市祭畤大橋崩落現場の写真です。10月にいわての防災教育復興スクールとして1年生全員が見学に行きました。災害の記憶を伝える震災遺構からの学びも防災への備えにつながります。地域を知り、地域と繋がることで予測不能な社会を生きる備えが身につき、防災意識も高まると1年の活動を通して実感しています。
令和6年1月26 日(金)盛岡市民文化ホール 大ホールで県内児童・生徒が、震災から得られた3つの教育的価値「いきる・かかわる・そなえる」を意識した実践活動を発表し、互いに学びを共有しました。今年度教育スクール3年目の本校はパネルディスカッションに参加しました。一緒に参加した高校は以下の通りです。
・岩泉高等学校 (いわての復興教育スクール〈沿岸〉)
・大船渡高等学校定時制 (いわての復興教育スクール〈沿岸〉)
・金ケ崎高等学校 (いわての復興教育スクール〈内陸〉)
・大迫高等学校 (いわての復興教育スクール〈内陸〉)
今回の発表会では1年生の代表として1組の中家颯眞さん、2組の照井晋太朗さんが発表しました。
金ケ崎高校からの活動報告(プレゼン紹介)
はじめに能登半島地震の被害に遭われた皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。被災地の一日も早い復旧をお祈り申し上げます。この写真は石川県金沢市の高校の先生からいただいた地震翌朝の現場の様子です。心が痛みます。東日本大震災からの復興経験を、今度は支援という立場で生かしていく時だと思います。
それでは発表に移ります。
金ケ崎高校がある金ケ崎町は奥羽山系のふもとにある人1万6千人の町で積雪量が隣接する北上市奥州市より多いのが特徴です。県内最大の工業団地と伝統的建造物保存地域がある歴史と最先端技術が融合する町です。地域の課題としては、高齢化が進み生産年齢人口が減少していること、自然災害においては北上川流域に位置しているため大雨による増水時の備えが必要であるということが挙げられます。
それでは、ここから一年間の学習を通じてどのような気づきがあったのか。更にこの学びを通じて、自分の中で変化したことや今私達ができること、地域の自然災害とどのように向き合っていったらいいのかをお話ししていきたいと思います。
ここに挙げた6つの活動が今年の主な復興学習内容です。
5月に毎年実施している町内クリーン作戦では、町内や国道、町内2つの駅などの清掃を実施します。今年度は清掃活動と同時に通学路の危険箇所を意識し実施ました。道路やくさむらにタバコの吸い殻が散乱していて、火災の危険性があることがみえてきました。
これは7月の探究アクションウィークに実施した沿岸高校との交流学習と被災地学習の様子です。様々なワークショップに参加し大船渡高校の生徒さんの発表に刺激を受けました。
「正義と何か」というワークショップでは「正義とは人の数だけ存在し、自分の正義を他人に押し付けないこと」が人と関わるときに大切だと考えさせられました。午後は大船渡市立博物館を見学し、明治三陸地震・東日本大震災の被害について学び、どんなに小さな揺れでも地震が来たら最悪の事態を想定する危機管理が大事だとわかりました。
私たちが住む県南地域の自然災害についての学びを紹介します。今回見学に訪れた北上川学習交流館あいぽーとは、平成20年の岩手・宮城内陸地震の際に災害対策拠点となった場所であり、東日本大震災では、災害車両の一時拠点となった場所です。この施設は防災センターとしての機能も果たしていて監視カメラで河川の様子を監視していました。大雨による洪水が発生すると、甚大な被害のおそれがあります。治水施設などの整備により洪水被害は軽減されていますが、異状気象による 集中豪雨や局所的な大雨が降ることもあり、災害への備えはとても大事です。
今年、金ケ崎高校では2回の防災訓練が行われました。1回目の訓練で私たち1年生は煙体験をしました。火災では、炎から逃げることはもちろんですが、煙に巻きこまれないように注意することが大切です。炎が広がるスピードよりも煙が広がるスピードの方が速く階段などでは人が逃げる速度より煙が上昇するスピードの方が速いので、特に注意が必要になります。煙が蔓延すると本当に視界がなくなることにも驚きました。
2回目の訓練は緊急地震速報の全国的な訓練実施日である11月2日に行われました。2回目は予告の無いシェイクアウト訓練でした。シェイクアウト訓練は、地震の際の安全確保行動「まず低く、頭を守り、動かない」を身につける機会になります。自分の防災意識を高める機会になりました。
9月に予定していた避難所運営ゲームでいたが、インフルエンザの流行で延期になり11月に実施しました。このような感染症流行は災害と切り離せない問題です。避難所運営の際にも予防対策は重要ですよね。さて、避難所運営ゲームはHUG(ハグ)ともよばれますが、なぜHUGなのかご存じですか?答えは、Hinanjo Unei Gameの頭文字をとって「HUG」だということをみなさん知っていましたか?ハグには「抱きしめる」という意味があるので「避難者を優しく受け入れる」とのイメージも含まれるのだそうです。。実際にゲームを体験して、まずは自分の命を守ることの大切さと、誰かが動き出すのを待っていたら何も始まらないこと情報や物資をいち早く避難している人たちに届けるための優先順位をつける工夫など多くのことを吸収できました。
12月27日に行われた異世代交流保育体験の様子です。災害時は、近所で助け合う力がカギ だと言われます。私は2歳児クラスを丹津しました。地域の人の顔がわかると何かが起きたときに安心して寄り添うことができます。このような交流の機会をたくさん持つことで地域の防災につながると考えます。
最後に、災害という危機に直面した場面だけではなく、私たちが送る日々の暮らしの中で、災害について考え、生活の中で備えることが重要だと1年の活動を通して学びました。学習を通して、自分の命はきちんと自分で守ったうえで、自分ができる最大限の行動をとり、できるだけ多くの人の助けになれる大人、他人を犠牲にしない大人になりたいと思っています。
発表会に参加した生徒は「どの地域でも、そこに根差した地域復興をしていることがわかりました。今回の発表会で得られた学びを、日常生活や災害にあった際などに生かせるようにしていきたいです。」と振り返りました。